この本が使えすぎて驚く。『ズボラ―さんのたのしい朝ごはん』(料理:小田真規子 文:大野正人)。
たとえば写真のこれ。うちに余らせているお正月のおもちを焼いて、ぬるま湯にくぐらせて、ごまと塩と砂糖をふるだけ。そしたら、おいしいゴマ団子(みたいなおやつ)ができあがったのだ…!
中野
朝ごはんを、この本で食べる生活にしようと思う。そう思える偉大な本だね! 朝ごはんって、本当に食べられなくてさ…。
谷
そうなんだよ、朝ごはんって、食べるのが楽しみな昼とか夜に比べて、なぜだか「食べないといけない感」がいちばん強いものだと思わない?
中野
たしかに! 時間ないし、家で食べなきゃいけないし。
谷
だから、朝ぐらい自由でいいんじゃない? と思ってつくったんだ。
中野
それが企画の元!? すごいね! レシピ本をつくる発想じゃない気がする。自己啓発とか、健康っぽい。
谷
オビの写真もフルーツサンドにして、甘いし楽しい気分を出してみたよ。本当は朝に甘いものなんて、って思うかもしれないけど、楽しさ優先なの。
中野
たしかに、朝ごはんのハードルをすごく低くしてくれる名著だね。レシピ本でこんな「朝ごはん食べたい!」って気持ちになるものないもん。
谷
アイデアの数も、全部で260個入れた。
中野
多い!!! この本のおかげで、朝ごはん食べない歴15年に渡る私でも、いちおう2週間続いているよ…!
とにかく簡単で、ありがたいです。
谷
この本の第一弾の『一日がしあわせになる朝ごはん』の、このページとか、バナナの写真が載ってるだけ…。
中野
これならマジで私もできる! 心休まる!
中野
しかし編集者にとっては英断だよね。コンセプトがしっかりしてないと、バナナだけとか怖くて逆に入れられないよ。
谷
とにかく、朝ごはんはとても自由で簡単でいいっていうメッセージの元に、先生と作りました。食べないよりは食べた方がいいからさ。
中野
『一日がしあわせになる朝ごはん』のほうの、この太陽の目玉焼きもいいよね。フライパンが冷たいときに卵を落とすと、黄身が動かせるという…。
谷
これも、ただそれだけなんだけど。楽しいよね!!
中野
小さい子がお母さんとすると喜びそうよね。
谷
やっぱり本は、お母さんに主にうけてます。そのあと、ひとり暮らしの女性。
中野
絵本みたいだしね。この絵本感は、あやこにしか作れないなあ。
谷
お母さんと子どもが一緒に本を見て、「何が食べたい?」って聞いてつくってるみたい。
中野
それはお母さんも楽しいね!
谷
ありがたいことに、「毎日同じになりがちな朝ごはんなのに、目先が変わるから喜んで子どもが食べる」っていう声をいただいたよ
中野
たしかに、おにぎり55連発! とか使えそう。
谷
そうなんだよ、やっぱり家で自分で思いつくのだと、おかかとか梅干しとか、結局オーソドックスになっちゃうから。
中野
よりおすすめのレシピってどれ?
谷
私が試食のときに驚いたのが、この「こしょうと粉チーズのおにぎり」。コクが出ておいしいよ
中野
絶対自分じゃ思いつかない…! でもおいしそう!! やってみる!!
あと、この豆腐にバターと醤油とネギをかけてチンするだけのやつ。なんでこれまでやらなかったんだと思わせる簡単さとおいしさ。
谷
小田先生って本当に発想がいいよね。思いつきそうで思いつかないやつなんだ。
中野
しかも、味がどれもおいしい。間違いのない感じ。
谷
そこは本当に小田先生が気を使っているところで、すべての人が「おいしい」と言うものは存在しないけど、7割の人においしいと言われるのを目指してレシピを考えてくれているよ。
中野
そんなのって目指せるんだ。
谷
先生がまずスタッフさん全員に食べてもらって、ちょっと甘いとか、辛いとか意見を必ず聞いてレシピを作ってるよ。その後撮影で、私と文章を書いてくれた大野さん、スタイリストさん、カメラマンさんも必ず食べて、そこで削ったレシピもある。全部試食した。
中野
全部!? おにぎり55個も?
谷
うん。ほかのレシピも全部食べてるよ。でも全部おいしいから、お腹は苦しくても心は苦しゅうない(笑)
中野
見出しもつい読んじゃうんだよ。これもあやこがつけてるの?
谷
これは、ライターさんと相談しながら決めたよ。試食をしながら味の感想を話し合うと、いい見出しになるんだ。たとえばこれ。
谷
おかかだけだとすごくオーソドックスな味でさみしげだけど、ナッツが入ることでコクと食感が加わっておいしいの。それを、こんなふうに表現してみました。
中野
ナッツ、いいやつ。
谷
私が気に入っているのがこれね。
中野
業務提携してるのか…。
谷
ライターの大野さんと一緒にもぐもぐ食べながら「うん、これだな」って腑に落ちる言葉にしていくのが楽しかったー。
中野
うわあ、体力あるね。撮影ってつかれるのにちゃんと見出しとかまで考えるのか…。すごい。今日はありがとうございました!
『ズボラーさんのたのしい朝ごはん』
16,000部
第一弾『一日がしあわせになる朝ごはん』
78,500部
↑第三回 料理レシピ本大賞 準大賞受賞しました。
朝ごはんが食べられるようになる「レシピ本」。レシピのみならず、やる気も引き出してくれるちょっと立ち位置の違う本です。イラストがたくさんで、いつもながら、あやこの本をつくりこむ力には脱帽です。レシピも多くてお得感がすごい!
この記事を書いた人
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