このサイトは、「この人のつくるものが大好き!」と、胸を張って言い合える6人の仲間でつくっています。
どんな思いでものをつくっているのか、どんなことを考えているのか……サイトの公開にあたって、自己紹介代わりにお互いのインタビューをしてみました。ここでは、宮崎桃子さんにインタビュー!
宮崎さんは、『カラダが変わるおうちヨガプログラム』20万部、
『なんでも英語でいってみる! シンプル英語フレーズ2000』16万部、
『考えない台所』13万部、
『オトナ女子の不調をなくす カラダにいいこと大全』15万部
などヒット連発の実力すごすぎる編集者です。
人柄も信頼がおけて、「この人に編集してもらう著者さんは安心だろうなあ」という人です。
きょうは宮崎さんに、私が常々聞きたかったことを聞いてみました。
彼女の「ヒットの秘密」に迫りたいと思います! 楽しみ!
中野
今日は私、聞きたいことがあって、どうして作る本作る本、だいたい10万部を超えるのか知りたいです。
宮崎
もちろん、全部が全部、10万部超えてるわけじゃないです!(笑)
中野
でも、出版界は10万部を一回出すだけでもうその人の代名詞じゃない?
それを連発できるのが、すごすぎる…!
宮崎
そんなに褒めないでよ~。照れます。
中野
転職してからすぐ出した2冊は、2冊とも10万部超えたでしょ?
宮崎
おかげさまで超えました。でも出版社のカラーに助けられているところは大きいです。
ロングで売って、部数をつくりあげるのが得意な会社でもあるので。
中野
前の会社も、まさにロングで売るタイプだったよね。
初版部数も大きいし、重版しない本の方が珍しいんでしょ?
宮崎
そうでしたね。ロングで売れる本の基本を教えてもらいました。
中野
うらやましい!
中野
じゃあ、これからももちんの手掛ける本がどうして売れるのかの秘密に迫っていきたいと思います。
初めてつくった実用書って、どんな本なの?
宮崎
それがね、この『カラダが変わる おうちヨガプログラム』です。
それまでは資格書とか、語学書を作ってました。
中野
ヨガ本?? し、知らない…!
宮崎
いま20万部くらいかな。
中野
すごい!! 初めて作った実用書が、20万部!? なんかさ、メンバーのるりこちゃんもそうだけど、デビュー作で10万部超えってなんなの?
宮崎
それって、結構会社の雰囲気も大きいと思う。なんか、はじめて本つくる人でも、まわりを観察してたらコツがわかってくるっていうか。
中野
それにしても、カンがいいんだね。
宮崎
この本は、部署関係なく自由に企画を立てさせてもらえることになったとき、
初めて「自分がやりたいな」と思って作った本なんだ。
中野
作りたかった本にしては、テーマが地味だよね!?
しかも、DVD付き! 初めてなのに、コストかかってる!
守ってるのか攻めてるのかわかりづらい。
宮崎
そうなんだよ(笑)。
この頃は、ヨガも流行った後で下火でね、企画会議でも2回くらい落ちたんだよね。
今更ヨガ? って感じで。
中野
企画会議落とす気持ち分かる…。
宮崎
でも、そんなにやりたいならって、最後に作らせてもらって。
中野
売れたんだね!! すごいね! 見てもいい?
中野
ももちんの本っぽい!! すごい作りが丁寧!! でも…地味…。
宮崎
あはは! よく言われます。特徴がないって。
中野
本当に謎なんだよね。ももちんの本って、いちばん真似するのが難しいというか、どうして売れるのかわからないんだよ。
宮崎
当時、ヨガのクラスに行ったときに、違和感を覚えたんだよね。
おしゃれなスタジオが増えてて、若くてきれいな女性が習ってるのに、なぜヨガの実用書はこんなにイケてないんだろうって。
一昔前の実用書ばっかりで、実際にヨガに興味がある女性たちを満たす本って、まだ出てないんじゃないかなって思ったの。
だから女性が憧れるようなすてきな先生を著者に迎えて、デザイナーさんもこだわりました。
それに、ヨガをやる人にはわかってもらえる特長もあるんだよ(笑)
中野
そうなんだね! これまでの本は、意外にニーズを満たしていなかったんだ。大ブームの後でも、すぐに飛びつかず、きちんと冷静に本を研究してたんだね。
それに、「実際にやっている人にはわかる特長」って、実用書には欠かせないよね。説明するんじゃなくて、ノウハウで共感させるのって、売れる実用書はみんなそうな気がする。
宮崎
企画前に、かなり研究しました。
中野
でも「健康」とか「英語」とかテーマが普通すぎて……。なんでこのテーマで、絶対売れるのかがわからないよ。
私、これらを「王道ジャンル」って読んでて、つくるの難しいなといつも思っています。「話し方」とかと同じ。あたればでかいけど、売れていない本が死屍累々のテーマ。
宮崎
そうなの? お客さん多くていいジャンルだと思うけど……。
中野
こないだの、『オトナ女子の不調をなくす カラダにいいこと大全』もそうだよね。
めっちゃ王道だし、派手じゃないから、真似できそうなのに、真似すると絶対売れないの。どういうこと?
宮崎
いよいよ核心に迫ってきた感じ?!(笑)
中野
ドキドキ! これは、編集者にとって難しい「王道ジャンル」をつくるときのヒットの核心に迫れる!?
宮崎
えーっと、本つくるときは「この本読んでわからない」と思われたくない一心で作ってます。
中野
?
宮崎
本を読むのって、主役が読者じゃない? でも、「読んでもよくわからない」って本、意外に多いんだよ!
中野
あ、それは分かる。私の頭が悪いんじゃないかって思う。
宮崎
だよね! 私もそう思ってた!
でも、あみちんが悪いんじゃなくて、本の作り方がよくないんだと思うの。
分からない本って、読者を上から見てる感じがどうしてもしちゃう。
分かる人だけが分かればいいっていうのは、違うと思うんだよね。
中野
ももちん!!(感動)
宮崎
少なくとも、実用書はそうだと思う。読者が一文でも分からない本は、作っちゃダメ! って思います。
中野
これが秘訣…!?
宮崎
私は、どんな人でも、読めば絶対に分かる本を作ろうと思ってるの。
だからイラストとか、DVDとか、図解が多いんだ。
いつも「ギャルでも分かる」本を作りたいと思ってるかも。
中野
ギャル世代!!! 私たち1980年代生まれはギャルが身近にあるよね……。
ギャルが身近すぎて、私も企画立てるたびにギャルのこと考えてる。「ギャルでも読んでくれるかなあ」って。
宮崎
なんていうか、ギャルってひとつの目安だよね。
中野
うんうん。ギャルがすごかった時代の名残っていうか……。強いし、人数多いし。
宮崎
ギャルでも、誰でも、分かるものをつくりたい!(叫び)
中野
ももちんって誠実だよね。ももちんが「誰でも分かるものをつくりたい」って言ったら、本当に作っちゃうんだね。
宮崎
たとえば、この英語のフレーズ集『なんでも英語で言ってみる! シンプル英語フレーズ2000』の日本語部分も、
全部身近で使えるフレーズを入れたんだ。
中野
えっ、このフレーズってももちんが考えてるの?
宮崎
うん。考えました。
中野
えええ!!! 自分が!? しかも2000も作ったの!!? 時間がいくらあっても足りないよ!!
宮崎
ボツ案もあるので、実際はもっと作ってます。
中野
これとかいいね。
中野、「斜め右にお願いします」と書かれている部分を指す
中野
あるもんね、「斜め右」みたいなことを英語で言いたいけど言えないもどかしいとき。
宮崎
あと、実際には言わなくてもちょっとくすっと笑えるフレーズを入れるようにもしてる。読むのが楽しいように。
なんだかんだ言って、英語を話す機会って少ないので。
語学書も、ギャルの方々に読んでいただけるように、読むのを楽しくしてるんだ。
中野
ギャルの方々って(笑)。
ギャルは語学書読まないと思うけど、でもももちんの本の秘密がわかった。分かりやすさ追求しすぎなんだね。
著者のいうこと全部かみ砕いて図解したりイラストにしたり、この見開きの間にいろいろものすごいやってるんだね。
宮崎
そうなのかなあ。分析うれしい!
中野
あとさ、ほんと広いテーマ持ってくるよね。
「ヨガ、体にいいこと、語学」なんて、このテーマでも、お客さんいっぱいいるじゃん!
広いテーマ×絶対の分かりやすさ! これだ!
宮崎
そうだね、広くとるようには心がけてるかも。
中野
私最近気づいたんだけど、テーマ広くて売れる本って、本当にコンテンツがちゃんと面白いんだよ。
企画の切り口とかじゃなくて、ちゃんと中身がある著者が、誠実に面白いこといってるの。
内容がある著者っていいよねえ。
宮崎
企画を思いついたら、最低3人の著者候補に当たるようにしてるかな。
中野
企画ありきなんだ! 人ありきじゃなくて?
宮崎
それぞれいろんなスタイルがあると思うんだけど、
私は先にコンセプト考えて、それに合う人を探してます。だから、無名の人でもいいと思ってます。
中野
企画ありきなのに、コンテンツ重視。著者を見つけてくる力についてもめっちゃ聞きたいのですが…。
著者さんについては、またじっくりお伺いさせてください! しかし、最低3人は当たらなければなりませんか。それもカギだね……。
宮崎
そうなのかな。
中野
それは、ももちんの人柄だよね。
本当に、だれもが分かるものを、きちんと作ってる。
この、だれでもつくれそうなテーマの本が、ももちんしか作れないということが分かりました。
本は人柄出るね。
宮崎
そう? なんだか照れる。。。
中野
大変今日は勉強になりました。ありがとうございました。
宮崎
ありがとうございました!
想像通り、ももちんらしいしっかりした編集術でした。
まさか、英語のフレーズを2000も自分で考えていたとは……。
「王道ジャンル」をつくるのが苦手で、どうしてもエッジのたった企画をと
考えがちだったのですが、私もやれるかも!? と希望が湧きました。
「著者を選ぶとき」については、また後日詳しく聞きたいと思います。
本当にありがとうございました!
この記事を書いた人
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