このサイトは、「この人のつくるものが大好き!」と、胸を張って言い合える6人の仲間でつくっています。
どんな思いでものをつくっているのか、どんなことを考えているのか……サイトの公開にあたって、自己紹介代わりにお互いのインタビューをしてみました。ここでは、中野亜海さんにインタビュー!
中野さんは、『読むだけで思わず二度見される美人になれる』(シリーズ35万部)、
『毎朝、服に迷わない』(シリーズ15万部)
『必要なのはコスメではなくテクニック』(7万部)、
『いつも流行に左右されない服が着られる』『生まれつき美人に見せる』
などなど、個性的で忘れられないタイトルが大得意。
女子の「きれい! かわいい!」を応援する名作を世に送り出すベストセラー編集者です。
いつもおしゃれで(私は出版界一のおしゃれさんだと思ってます)、はじけるビッグスマイルは、こちらまで元気にしてくれるんです。
今回は、中野さんのヒット作を生み出す編集について、宮崎が迫ってみました!
宮崎
あみちんはね……。
中野
…なんでしょう??
宮崎
編集の流れを大きく変えた人だと思ってます。
中野
えっ、なになに?!(笑)
宮崎
あ、いきなりごめんね(笑)。とりあえず、かんたんにここまでの経歴を教えてくれますか?
中野
はい。私、すごい本が好きで、編集者になりたかったの。だから就活で出版社受けまくったんだけど、全滅……。
それで、受かったアパレルの会社に就職しました。
宮崎
へえー! 最初は全然関係ない業界だったの?
中野
うん。でも、どうしても本を作りたかったから、アパレル辞めて最初はアルバイトで出版社にもぐりこんで、いま出版社は3社めなの。アルバイト、契約社員、初の正社員となり、でもその会社が倒産したりして。
宮崎
すごいガッツだな~!
あみちんと言えば、メイクやファッションの本が思い浮かぶんだけど、
転機になった本はやっぱり『読むだけで思わず二度見される美人になれる』だよね!
中野
うん! 覚えてくれていてありがたいです。
宮崎
この本は伝説だと思ってて。
これまでのメイク本のイメージを一変させたよね。タイトル、ビジュアル、文章……。すべてが新しかった!
中野
おかげさまで、それまで見たことなかった初速が出たよ。
これ単品だと、13万部まで伸びました。
宮崎
すごい! でももっと売れてるイメージ。30万部くらいかと思ってた。
それだけインパクトが強い本だったんだね。
メイクの本で読み物っていうスタイルが新鮮だったんだけど、これは戦略的?
中野
いや、実は予算がなくて読み物になったの(笑)
宮崎
ええー!!! それで売れる本に仕上げるところがすごい!
中野
カラーおしゃれ本ってとにかくお金がかかるから……。
シンプルな本だと、普通スタッフはデザイナーだけじゃない? あとはせいぜいイラストレーターさんくらいで。
でも、こういう本は、カメラマン、スタイリスト、モデル、ヘアメイク、そして、一日で家賃の倍くらいいく高いスタジオ代……。関わっている人も多くて、製作費も文章だけのにくらべて数倍かかるのに、女性ジャンルの本の価格自体は安いという矛盾。
宮崎
本当にそうだよね。出版は博打だってよく言われるけど、その賭けるお金が他より高いよね。
中野
文章だけの本ばっかりつくってる出版社からは、「なんだこれ」って感じだよね。
宮崎
編集者の手間もかかるし。ラフ書いて、たくさんの人と打ち合わせして……。
中野
だから、ビジュアルブックにあこがれて、予算内で私の持てる力の最大限でつくったカラー本があの本だったんだ。
宮崎
でもその後、これを真似た本がたくさん出て。
中野
そうなんだよ~(笑)
宮崎
一般の読者の方にはわからないと思うんだけど、完全にあのジャンルは中野亜海が作り上げたよね。
宮崎
あみちんの本って、本当に独特なんだけど、どんなことを考えながら作ってるの?
中野
まずタイトルに関して言えば、「読者に手にとって欲しい!」の一心で作ってる。
もうね、すごくすごく手にとってほしいの!
まず、カバーとタイトルは「手にとってください!!」ということを最優先してる。
宮崎
おお!(笑) なんて情熱的!
中野
そして、とにかくびっくりさせたいの! 企画会議でもみんなをびっくりさせたい!
最近、タイトル会議が大喜利みたいになってるよ(笑)
宮崎
たのしそう!
中野
あとは、タイトルで本当のことを言うようにしてる。
宮崎
本当のこと?
中野
うん。たとえば『読むだけで思わず二度見される美人になれる』は、著者の神崎さんとの、
「この本の通りにしたら、二度見されますよね!」「ウケる! 二度見!」っていう会話から生まれたし、
『毎朝、服に迷わない』も、つくってる最中に、「この本のおかげで朝迷わなくなったな」と思ったからつけたよ。
これってすごく普通のことを言ってるようだけど、世の中にはタイトルと中身が伴ってない本が多くて……。
宮崎
うんうん! わかるよ
中野
だからタイトルは、文法とか、日本語的に少し変でも、良しとしてます。
たぶん他の編集者に怒られる(笑)
宮崎
なるほど! だから勢いのあるタイトルが生まれるんだね~。
中野
女性ものは、このワクワクする感じを伝えたいんだ。
あとは、女子の欲や本能を刺激するようにしてる。
女子ってどんな人でも「かわいくなりたい」って思っている生物なので、
彼女たちのテンションが上がるように心がけてるよ。
宮崎
へえー! なんでそう思うようになったの?
中野
地方出身っていうのは大きいかも。
私は田舎の進学校で勉強がんばりながら、流行のファッションやかわいいものに憧れてたから。
私の本作りのベースは田舎の自分なんだよね。
宮崎
なるほど~。
中野
あと、どんなに田舎者だろうと、おしゃれじゃない女子だろうと、
女の子は「自分はかわいい」って思ってるものなの。心の奥底では。
だから編集の過程で、絶対に上から目線にならないように細心の注意を払ってるよ。
ああしなさい、こうしなさいっていう説教くさいのは徹底的に省いてる。
別に、おしゃれは自分がかわいくないからするわけじゃないから。
宮崎
なんか、、、すごく良いことを聞いた!!!
私も気をつけます!
宮崎
あとさ、やっぱりアパレルで働いてたって、すごくあみちんらしいね!
中野
そうかな??
宮崎
うん! いつも超おしゃれだし。
中野
いや、全然だよ。毎回著者さんに「中野さん、変身できますよ!」って言われてる…。
宮崎
まったく違う業界から転職して最初はどうだった?
中野
念願だった編集者になれたから超うれしかった!
でも基本的に男性向けの本を出す出版社にいたから、女性実用にくわしい人が少なくて。
女性ものの編集はだれにも教えてもらってないんだ。
宮崎
へえー! すごい! でもそれがあみちんの個性になっていったんだね。
アパレルでやってたことって、何か役立ってる?
中野
そのとき思ったのが、お店にくるお客さんが、全部が全部「おしゃれな人じゃないんだな」っていうこと。
私がいたのは、カジュアルが売りのブランドだったから、特にそうだったのかも。
おしゃれな人ってむしろ珍しいんだよ。
宮崎
たしかにそうかもね。
中野
だから、アパレルって、おしゃれじゃない人に買ってもらう努力をものすごくたくさんしてるんだ。
アパレルの販売員さんって、着方、コーディネートの仕方を手取り足取り教えてあげて、試着までして買ってもらってる。
ショップって、実用の知識とホスピタリティがものすごいの。
私の本も、そういうものをつくりたいな。アパレルショップの店頭みたいにしたい。
宮崎
お客さんっていろんな人がいるもんね。
中野
そう。
宮崎
だから、女子みんなに買ってもらうにはどうしたらいいのか? っていう視点が身についてるんだね。
実用性も重視しなきゃいけないしね。
雑誌は理想を売るけど、本には実用性を求めるもんなー。
中野
雑誌のかっこよさはかっこよさで、すごくすてきだけどね。
宮崎
あと、私があみちんに感じるのは、無邪気さ。
中野
ん? 無邪気??
宮崎
そう! 人の幸せを素直に喜べるし、人の良さを素直に認められる器の大きさがあるよね。
中野
え、そうかな!?
宮崎
著者も、すごくやりやすいと思うし、本にも「すごい!」っていうオーラがあるよ。
中野
たしかに著者のことはすぐ好きになっちゃうんだよね。
取材も「すごい!」「すごい!」って連発してて、取材っていうかただ好きな人の話を聞いてるだけ……。
宮崎
あはは!
もっと聞きたいことありますが、またの機会にしようかな。
今日はありがとうございました!
中野
ありがとうございました!
あみちんの作る本が、なぜ売れるのか。
それは女子の欲望を満たすパワーと、徹底的なわかりやすさ・再現性を兼ね備えているからだとわかりました。
これってシンプルなことだけど、すごく難しいこと。
それを彼女は、無邪気な笑顔と読者をハッピーにしたい一心で、作り上げているんだなあ。
次はメイクやファッション編集について、くわしく聞いてみたいと思います!
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